音楽ってすごい!

11月に入ると訃報の葉書が届き、そろそろ年賀状を準備する時期がきたと気づかされます。

その年は例年になくたくさんの葉書が届きました。その中に高校の時の友人からのものあり、お父様が亡くなられたとのこと。

友人のお父様というのは私の高校時代の化学の先生で、私は追試を受けるほどの劣等生、大変お世話になりました。数ヶ月前に、先生のご様子を伺っており、体はお元気ということだったので、とてもショックをうけました。

先生は化学が専門なので、退職後もそちらの方に傾倒なさっていると勝手に想っていたのですが、友人からは、私の想像とは違い、先生は記憶が曖昧になっているとのこと。それでもいつも得意でいらっしゃったハーモニカをポケットに忍ばせており、デイサービスでは皆さまに披露して音楽を楽しんでいるご様子と聞いていました。

 

私の話ですが、今住んでいる所にスペースがないため自分のピアノを実家に預かってもらっています。当時、ピアノに触れることもなくなっていましたが、フォレストガンプの映画を見て、あのテーマ曲がとても心にしみ急に自分でも弾いてみたくなり、楽譜をとりよせ実家までいき練習を始めました。

その時、身体が思うように動かせなくなっている母はピアノの傍らのソファーにそっと座っていました。そして今まで私のピアノ演奏で褒めたことがない母が「なぐさめられるなぁ。」と穏やかに言ったのでした。その2ヶ月後に母は逝ってしまいました。私はあの時、初めて少しだけ親孝行出来たような気がしたのです。