星の王子さまは、とても小さな星に住んでいました。そこに咲いたきれいな花(バラ)といざこざがあり、ある日旅に出ることにしました。
7番目にたどり着いたのが地球
そしてきつねと出会います。きつねは言います。
「おれ、毎日同じことをして暮らしているよ。~おれは少々たいくつしているよ。だけど、もしあんたが、おれと仲良くしてくれたら、おれはお日さまに当たったよう気持ちになって、暮らしていけるんだ。足音だって、きょうまできいてきたのとは、ちがったのがきけるんだ。ほかの足音がすると、おれは、穴の中にすっこんでしまう。でもあんたの足音がすると、おれは、音楽でも聞いている気持になって、穴の外へはいだすだろうね。それから、あれ、見なさい。あの向こうに見える麦ばたけはどうだね。~あんたの金色の髪はうつくしいなあ。あんたがおれと仲よくしてくれたら、おれにゃ、そいつが、すばらしいものにみえるだろう。金色の麦をみると、あんたを思い出すだろうだろうな。それに、麦を吹く風の音も、おれにゃうれしいだろうな、、、」
王子さまはこんなはなしをしあっているうちにきつねと 仲良しになりました。
―王子様がさよならをいいに、きつねのところにもどってくると、約束どおり、秘密をおしえてくれました。
「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ。」
「あんたが、あんたのバラの花をたいせつに思っているのは、そのバラの花のために、ひまつぶしをしたからだよ」
わたしは10年ほど前に仲良しだった将太くんを思い出しました。
肌の色が透けるように白く、ガラス玉のようにきらきら光る目をした男の子、とても人懐っこい性格です。
部屋にお客さんが来ると「○○好き?」とたずねます。これが将ちゃんのコミュニケーションの方法なのです。将ちゃんにとっては挨拶みたいなもの。
将ちゃんは、自閉症という障害を持っています。一般的な会話は成り立ちません。
将ちゃんはかわいいのですがときにはひどいいたずらをします。物を壊したりトイレに洗剤をつっこんだり、問題児でもあります。
ある日みんなで遠出をして産直館に行ったとき、将ちゃんが好きなお酒の瓶が並んでいるコーナーがあり、いつものようにそこから動かなくなってしまいました。たまに、手に取ったりするので、落とさないように見守っている必要があります。
将ちゃんは、しばらくお酒が並ぶ棚をながめていましたが、
「よいしょ!」と木槌のようなものを振り下ろし、「とくとくとくとく」とお酒を器に注ぎ、わたしに渡してくれました。
よく見るとお酒が並ぶ棚の上のほうに酒たるの飾り物がありました。
それから、何回もふたりで鏡開き遊びをしました。
「よいしょー!」
「ぱっかーん!」
「とくとくとくとく」
お別れの日が来ました。それを将ちゃんが知ると、将ちゃんは作業にはいりました。何枚も紙を濡らして貼り重ねています。一生懸命、集中してやりつづけています。
そして、お別れ会でそれをわたしにプレゼントしてくれました。
ありがとう、将ちゃん!